女性ホルモンと抜け毛の関係:更年期・産後・その他の要因
更年期の薄毛(女性型脱毛症:FPHL)は、主に女性ホルモンの変動、特にエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少が深く関わっています。
ここでは、女性のライフステージごとのホルモン変動と抜け毛の関係について、詳しく解説します。
1. エストロゲン(女性ホルモン)と髪の「成長」
女性の髪の毛は、エストロゲンによって守られています。エストロゲンには以下の重要な役割があります。
役割 | 髪への影響 |
成長期の維持 | 髪の毛が長く太く育つ成長期の期間を長く保つ。 |
頭皮の血行促進 | 頭皮の血行を良くし、髪の成長に必要な栄養を行き届かせる。 |
コラーゲン生成 | 頭皮のハリや潤いを保ち、健康な土壌を作る。 |
このエストロゲンが大きく変動することで、抜け毛や薄毛が起こります。
2. ライフステージごとのホルモン変動と抜け毛
女性のホルモン変動による抜け毛は、主に「更年期」と「産後」の2つの時期に顕著に現れます。
🚨 更年期(40代後半〜50代半ば)の抜け毛
更年期は、エストロゲンの分泌量が急激に減少し、そのまま低い状態で安定する時期です。これが、更年期脱毛症の主な原因となります。
ホルモン変動 | 髪への影響 |
エストロゲンの減少 | 髪の成長期が短縮され、細く弱い状態で抜けやすくなる。 |
男性ホルモンの相対的優位 | 女性ホルモンが減ることで、体内に存在する男性ホルモンの影響が相対的に強くなり、毛根を萎縮させる作用が働きやすくなる。 |
頭皮の乾燥・血行不良 | ホルモン低下により頭皮が乾燥し、栄養が届きにくくなる。 |
この時期の薄毛は、頭頂部や分け目を中心に髪が細くなるのが特徴です。
🤰 産後(出産後2〜6ヶ月頃)の抜け毛
産後の抜け毛は、妊娠中に分泌量が増加していたエストロゲンが、出産を機に一気に減少することが原因で起こります。これは一時的な現象で、多くの場合、半年から1年ほどで自然に回復します。
ホルモン変動 | 髪への影響 |
妊娠中 | 大量のエストロゲンによって、本来抜けるはずの髪(休止期の髪)が抜けずに留まる。 |
出産後 | エストロゲンが急減し、留まっていた髪が一斉に休止期に入り、大量に抜ける。 |
💊 その他(ピル・無理なダイエット・ストレス)
更年期や産後以外でも、ホルモンバランスの急激な乱れは抜け毛の原因となります。
過度なストレス:ストレスホルモンが分泌され、自律神経が乱れ、血行不良や女性ホルモンの分泌低下を招く。
無理なダイエット:栄養不足により、体は生命維持を優先し、髪への栄養供給が後回しになる。また、ホルモンバランスも乱れやすい。
経口避妊薬(ピル):ピルの種類や服用を急に止めた際に、ホルモン環境の変化によって一時的に抜け毛が増えることがある。
対策のポイント
更年期によるホルモン変動で抜け毛が増えた場合、セルフケアでできる対策は以下の通りです。
大豆製品の摂取:大豆イソフラボンを意識的に摂り、エストロゲンの働きを補う。
血行促進:頭皮マッサージや適度な運動で、毛根へ栄養が届きやすい環境を作る。
質の高い睡眠:成長ホルモンの分泌を促し、髪の再生をサポートする。
抜け毛や薄毛が続く場合は、自己判断せずに**専門の医療機関(皮膚科、FAGAクリニックなど)**で相談し、適切な治療(ホルモン補充療法や内服薬など)を検討しましょう。