生理前は要注意!女性の抜け毛が増える原因と今すぐできる対策
「生理前になると、なぜか抜け毛が増える気がする…」
「ただでさえ忙しい時期なのに、髪のボリュームまで減って気分が落ち込む」
このように、生理周期に合わせた抜け毛や薄毛の悩みは、多くの女性が抱える共通の悩みです。月経前に抜け毛が増えるのは、決して気のせいではありません。これはホルモンバランスの大きな変化が深く関わっている、女性特有の生理現象なのです。
しかし、毎月のことだからと諦める必要はありません。ホルモン変動の影響を最小限に抑え、健康な髪を育むための具体的なセルフケアを知っておけば、抜け毛の増加を抑えることができます。
この記事では、生理前に抜け毛が増えるメカニズムを理解し、食事・生活習慣・頭皮ケアの3つの視点から、根本的な対策法を詳しく解説します。
1. 生理前の抜け毛が増えるのはなぜ?ホルモンが関わるメカニズム
生理前は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンが、大きく変動する時期です。この変動が、髪の成長サイクル(ヘアサイクル)や頭皮環境に影響を与え、抜け毛の増加を招きます。
1-1. エストロゲンの急激な減少
エストロゲンは、美のホルモンとも呼ばれ、髪の成長期を長く保ち、ハリやコシのある豊かな髪を育む働きがあります。
しかし、排卵後から生理前にかけて、このエストロゲンの分泌量が急激に減少します。その結果、これまで成長を続けていた髪の一部が、本来のタイミングよりも早く休止期へと移行し、抜け落ちる量が増えてしまうのです。これが、生理前の抜け毛が目立つ主な原因の一つです。
1-2. プロゲステロンによる頭皮環境の悪化
生理前に分泌量が増えるプロゲステロンは、妊娠を維持するための大切なホルモンですが、同時に皮脂の分泌も促進する作用があります。
皮脂の過剰分泌: 頭皮が脂っぽくなりやすく、毛穴が詰まりやすくなります。これにより、頭皮環境が悪化し、炎症や毛根への負担が増えて抜け毛を引き起こす原因となります。
むくみと血行不良: プロゲステロンの影響で体に水分を溜め込みやすくなるため、頭皮もむくみやすくなり、血行不良につながるケースもあります。髪に必要な栄養や酸素が毛根まで届きにくくなることも、薄毛の原因です。
1-3. PMS(月経前症候群)によるストレスと血行不良
生理前のホルモンバランスの乱れは、PMS(月経前症候群)として、イライラ、倦怠感、頭痛などの精神的・身体的な不調を引き起こします。
これらのストレスは自律神経のバランスを乱し、血管を収縮させて全身の血行を悪化させます。頭皮の血流が滞ることで、髪の成長に必要な栄養補給が滞り、抜け毛や細毛のリスクを高めてしまいます。
2. 【食事で整える】生理前〜生理中に意識したい栄養素
髪の健康は、体の内側から作られます。特にホルモンバランスが不安定になる時期は、特定の栄養素を意識して摂取することが、抜け毛対策につながります。
2-1. 髪の材料とホルモンをサポートする栄養素
栄養素 | 役割・効果 | 意識して摂りたい食品 |
タンパク質 | 髪の主成分**「ケラチン」**の原料。不足すると髪が細く、抜けやすくなる。 | 肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など) |
鉄分 | 貧血を防ぎ、頭皮への酸素と栄養の運搬をサポート。生理中は特に不足しがち。 | レバー、赤身の肉、ほうれん草、貝類(あさり、しじみなど) |
亜鉛 | タンパク質の合成を助け、ヘアサイクルを整えるミネラル。毛母細胞の分裂を促進。 | 牡蠣、牛肉、レバー、ナッツ類、かぼちゃの種 |
大豆イソフラボン | **女性ホルモン(エストロゲン)**と似た働き(エストロゲン様作用)を持ち、ホルモンバランスをサポート。 | 納豆、豆腐、豆乳、きな粉 |
ビタミンE | 強力な抗酸化作用と血行促進作用で、頭皮の健康を保つ。 | ナッツ類(アーモンドなど)、アボカド、かぼちゃ、植物油 |
ビタミンB群 | 新陳代謝を促し、皮脂のバランスを整え、ストレスによる不調を緩和。 | 豚肉、レバー、魚介類、緑黄色野菜、全粒穀物 |
2-2. 食事摂取の工夫と注意点
吸収率アップ: 鉄分はビタミンCと一緒に摂ると吸収率が向上します。野菜や果物と一緒に摂取しましょう。
無理なダイエットは厳禁: 極端な食事制限は、髪に必要な栄養素を不足させ、深刻な抜け毛を引き起こす可能性があります。バランスの良い食事を心がけましょう。
サプリメントの活用: 食事だけでは不足しがちな栄養素は、サプリメントで補うのも一つの手です。特に、亜鉛やビタミンB群を含む育毛サプリメントは、頭皮環境のサポートに役立ちます。
3. 【生活習慣を見直す】体の中から抜け毛を減らす
ホルモンバランスを整えるには、日々の生活習慣の積み重ねが何よりも大切です。
3-1. ストレスマネジメントとリラックス
PMSによるイライラやストレスは、そのまま抜け毛の原因になります。
リラックスタイムの確保: ぬるめのお湯にゆっくり浸かる、好きなアロマを焚く、軽いストレッチやヨガを取り入れるなど、心身が休まる時間を意識的に作りましょう。
適度な運動: ウォーキングやヨガなどの有酸素運動は、血行を促進するだけでなく、ストレスホルモンのコントロールにも役立ち、ホルモンバランスを整える手助けになります。
3-2. 質の高い睡眠の確保
髪の成長を促す成長ホルモンは、主に就寝中、特に深い眠りのときに活発に分泌されます。
ゴールデンタイム: 睡眠の**「時間」だけでなく「質」**を高めることが重要です。寝る前のスマートフォン操作を控える、寝室の温度や湿度を快適に保つなど、質の良い睡眠を確保しましょう。
3-3. 体を温めて血行促進
冷えは血行を悪化させ、髪の成長に必要な栄養が届くのを妨げます。
温活の習慣: 腹巻きや靴下などで体を冷やさないよう心がけ、シャワーだけでなく湯船に浸かって全身の血行を促しましょう。
4. 【頭皮環境のケア】生理周期に合わせたお手入れ法
生理前は、プロゲステロンの影響で皮脂が増えやすいため、頭皮ケアを少し工夫しましょう。
4-1. 優しいシャンプーと正しい洗い方
マイルドなシャンプー: 洗浄力が強すぎるシャンプーは、頭皮に必要な皮脂まで奪い、かえって皮脂の過剰分泌を招いたり、乾燥させたりする原因になります。アミノ酸系など、洗浄力がマイルドなシャンプーを選ぶと良いでしょう。
正しい洗髪: 洗髪時は爪を立てず、指の腹を使って頭皮全体を優しくマッサージするように洗いましょう。38〜40度程度のぬるま湯で、シャンプーが残らないようしっかりすすぐことが大切です。
4-2. 頭皮マッサージの習慣化
頭皮の血行不良を改善するには、頭皮マッサージが非常に有効です。
継続が大切: 毎日数分間でも良いので、入浴中やお風呂上がりのリラックスタイムに取り入れましょう。
マッサージ方法: 指の腹を使い、心地よい圧力で頭皮全体を円を描くように動かします。特に後頭部や側頭部はコリやすいため、念入りにほぐしましょう。**「痛いほど効く」**わけではないので、強い刺激は避けてください。
5. セルフケアで改善しない場合は専門家へ相談
生理前の抜け毛は、多くの場合、生理が始まってホルモンバランスがリセットされると1〜2週間程度で落ち着きます。
しかし、「抜け毛の量が異常に多い」「生理周期に関係なく薄毛が進行している」「髪全体が細くなってきた」と感じる場合は、FAGA(女性型脱毛症)や他の疾患が隠れている可能性があります。
セルフケアを試しても改善しない場合は、一人で悩まず、婦人科や薄毛治療専門のクリニック、皮膚科などの専門医に相談しましょう。専門家による適切な診断と薄毛治療薬(ミノキシジル外用薬、育毛サプリメントなど)を組み合わせることで、抜け毛の緩和や発毛促進が期待できます。