🛡️ 冗長化(じょうちょうか)とは?システムの安定性を高める仕組みを解説
冗長化(じょうちょうか、Redundancy)とは、システムやネットワークにおいて、一部の機器や機能に障害が発生しても、全体の稼働やデータが失われることを防ぐために、予備の機器や回線をあらかじめ用意しておく設計手法のことです。
簡単に言えば、「バックアップ」や「予備」の機能を持たせて、システムを停止させないための保険のようなものです。
1. 冗長化の基本的な目的とメリット 🎯
冗長化の最大の目的は、「システムの停止を防ぐ」ことにあります。
| 目的 | 詳細 |
| 可用性の向上 (Availability) | システムがいつでも利用可能な状態を保つこと。障害発生時もサービスを継続できる。 |
| 信頼性の向上 (Reliability) | システムが予期せぬトラブルなく正常に動作し続けること。 |
| 業務継続性の確保 (BCP/Continuity) | 大規模な災害や障害が発生しても、企業や組織の重要な業務が継続できること。 |
| データ保全 | ハードディスクなどの機器が故障しても、データが失われないように保護する。 |
【メリット】
ダウンタイム(システム停止時間)を最小限に抑え、ユーザーやビジネスへの影響を防げる。
メンテナンスの際も、予備の機器に切り替えることでサービスを止めずに作業ができる。
2. 冗長化の主な種類と方式 ⚙️
冗長化は、対象とする機器や機能に応じて、様々な方法で実現されます。
🔹 1. サーバーの冗長化 (クラスタリング)
サーバーに障害が発生した場合、予備のサーバーに自動で切り替えることで、サービスを継続する方式です。
アクティブ/スタンバイ構成 (Active/Standby):
アクティブ機(現用機)が通常稼働し、スタンバイ機(待機機)は待機状態で障害に備えます。
コストはかかるが、切り替えが迅速で信頼性が高い。
アクティブ/アクティブ構成 (Active/Active):
複数のサーバーが並行して稼働し、負荷を分散させます。
一台が故障しても、残りのサーバーで処理を継続します。処理能力の向上も兼ねられるため、効率的です。
🔹 2. データの冗長化 (ストレージ)
データが保存されているディスクを二重化し、ハードディスクの故障からデータを守る方式です。
RAID (Redundant Array of Independent Disks): 複数のハードディスクを一つにまとめて、ミラーリング(データを完全に複製)やパリティ(誤り訂正符号)によってデータを保護します。
バックアップ: データを別の場所(クラウドやテープなど)に定期的に複製し、システム全体が破壊された場合に備えます。
🔹 3. ネットワーク・回線の冗長化
インターネット回線やネットワーク機器(ルーター、スイッチなど)を二重化し、通信の途絶を防ぎます。
マルチホーミング: 複数のインターネットサービスプロバイダ(ISP)と契約し、回線やプロバイダに障害があっても、別ルートで通信を継続できるようにする。
3. 冗長化の検討における注意点 ⚠️
冗長化はシステムの安定性を高めますが、コストや複雑さが増すという側面もあります。
コスト増: 予備の機器や回線を用意するため、初期投資や運用費用が増加します。
複雑性の増加: 構成が複雑になり、管理や障害発生時の切り分けが難しくなることがあります。
どこまで冗長化するか: すべての機器を冗長化するのは非現実的です。業務やサービスにとって最も重要なコンポーネント(ボトルネックとなりやすい部分)に限定して冗長化を行うのが一般的です。
現代のインターネットサービスや金融システムなど、「止まってはいけない」システムでは、この冗長化の技術が不可欠なものとなっています。